
福島県にお住まいの深堀さま。古い建物で断熱材が入っておらず、冬場は零下になる地域なため、暖房を入れる室内の壁は結露とカビだらけだったとか。
DIYは初めてとのことでしたが、何度もメールでのやりとりを続けるうちに、どんどん本格的になっていかれました。

【初めに】
株式会社レノヴァの横山様、連携されている建築士様とご相談し、塗装方法のご指導を頂きました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。
私の住んでいる建物は古く、断熱材ゼロの建物です。部屋は公共の施設によくあるようなプラスター壁に囲まれています。天井はケイカル板(無石綿ケイ酸カルシウム板)です。冬場、これらの部分にできる結露とカビに悩まされてきました。今回、部屋を管理しているところから正式に許可を頂き、断熱効果があるガイナを内壁に塗装することにしました。
今回の塗装レポートは6畳間の壁と天井の塗装について書きました。施工は10月下旬ですが、居住地の福島県では昼の外気温10度~20度で、夜は10度以下でした。

【塗装当日前までに済ませたこと】
まずは壁・天井の清掃を行いました。去年のカビは春に入った時にカビ取り剤(次亜塩素酸系)で取り除きましたが、もう一度、除菌と清掃をしました。
壁にへこみや穴、かけた部分があるところは室内壁補修用パテ(セメダイン)を使用して埋めておきます。後述のマスキング作業を塗装前日までにやってしまうと、当日はかなり楽かもしれません。

【1日目】
●マスキング
マスキング作業は塗装作業時間と同じくらい時間がかかりました。部屋にあるものに塗料がかからないようにすべて覆っていきます。まずは梁などの木材部分などをマスキングテープ(3M、その他)で覆いました。
次にマスカー(株式会社ハンディークラウン、その他)で窓やふすまを覆って、最後に壁と床の接合部分をマスカーで覆いました。マスカーのビニール幅は1メートルちょっとのものを使用したのですが、強度は期待できないため、床面はその上にブルーシートで覆いました。
マスキングテープに関して、紙テープタイプのマスキングテープとポリエチレン系の養生テープがあります。私は紙テープのマスキングテープを使用しました。しかし、紙のためか、塗装後、剥がすときにテープがかなりの頻度で破けました。ポリエチレン繊維の養生テープのほうが頑丈で剥がしやすいかもしれません。
●シーラー塗装
まずは下地を塗ります。今回は横山様から勧められたカビ止め材入りシーラー(四国化成株式会社、F☆☆☆☆)を購入しました。よく振ってからバケット(株式会社アサヒペン)に入れ、刷毛(株式会社アサヒペン)とローラー(株式会社アサヒペン)で塗って行きました。
粘性はないので、ローラーで塗る際にはつけすぎに注意。販売元の多賀建材様から、乾くまで3~4時間かかる、とのこと。

●ガイナ(F☆☆☆☆)塗装
開け方が難しいとのことなので写真を撮りました。矢印の部分が蓋の取っ手となります。
(レノヴァより:現在、このタイプの缶を使用しておりません。より開け方が容易な缶になりました)

大きめのカッターで点線のように左右に切り込みを入れ、右側をめくり上げます。矢頭部分が厚くなっていますので、若干力を入れて切り込んでください。

めくった部分を持って、蓋外周に沿って引っ張っていきます。最初、引っ張っても切れない場合、初めの10~15センチをカッターで切り裂いていっても問題ありません。10~15センチめくれれば力が入れやすいと思います。一周まわって取っ手のところまで来たらおしまいです。
とって部分を上に持ち上げれば蓋が開きます。中のビニールの蓋はガイナでべたべたですが、段ボールの上などに液に触れていた面を上にして広げ、保管しておきました。このビニールにひっついたガイナは調理用スクレイパーなどでかきとって使用できます。ビニールは余ったガイナに再度蓋をするのに使用しました。
カビの繁殖を防ぐために、防カビ剤を入れます。ガイナと一緒に購入した防カビ剤を開封してガイナに入れ、その後、水を防カビ剤のパックに入れ、濯いで入れました。水はガイナ撹拌時に約1.5L必要とのこと。これを繰り返し、防カビ剤も水も全て入れました。

次に撹拌ですが、電動撹拌機かそれに相当するもので3分以上撹拌とのこと。さすがにDIYで撹拌専用電動工具の購入は躊躇しましたので、電動ドリル+撹拌羽で行います。
電動ドリルはマキタM609、撹拌羽は新潟精SKパワーミキサーM-80を使用しました。他の物でもいけると思いますが、電気ドリルは低速で消費電力が高いもの(=パワーがあるもの)、撹拌羽は六角シャフトの物を選びました。電気ドリル部分のシャフトを固定する機構の点から、丸シャフトは避けた方がいいと思います。

電気ドリルの使用時はドリルに巻き込まれるものを絶対に着用してはいけません。手袋などは外してください。ガイナの粘性は高いのでドリルの保持は足に押しあてて、思いっきり固定しました。この撹拌作業は力の弱い方には大変かもしれません。
撹拌が終わりましたら、柄杓(柄が頑丈なもの)でガイナをすくい、携帯バケット(アサヒペン)に入れていきます。今回使用した携帯バケットは18cmのペイントローラーが入るサイズで、ディスポの内バケットをつけて使用するタイプです。内バケットは多めに買っておくといいと思います。

最初にペイントローラーではうまく塗れない部分(角や壁・天井・床接合部分、コンセント周りなど)を刷毛で塗っていきます。その後ペイトンローラーで全体を塗ります。
今回、1度目の塗りはペイントローラーを先にやり、塗れなかった部分を刷毛で仕上げしたのですが、刷毛のラインがペイントローラー部分にはみ出してきて見た目がイマイチになってしまいました。刷毛、ペイントローラーの順が良いと思います。
天井、壁の順で塗装しました。天井部分は壁に比べると塗装は面倒でした。塗料に重みがあるので、バケットでローラーにしみこんだ塗料は塗る前にボタボタと滴ります。これは私のガイナの粘性調整がいまいちだったか、塗り方がまずいのか、不明です。とにかく、天井にローラーがつくまでの間、ローラーの下にバケットを保持して滴るガイナを回収しました。滴りが壁についたりすると無様な塊がずっと残るので注意です。
ガイナは重ね塗りをするのが良いようで、1回目の塗装では見た目も(おそらく性能も)いまいちでした。夜になってしまったので、容器内のガイナに最初にとっておいたビニール膜を液面上に張って、蓋をし、翌日に2回目以降を行いました。

【2日目】
●ガイナ2回目、3回目
この日は午前中に用事があったので、正午からスタート。要領は分かったので、前日の反省点をふまえて作業を勧めました。まずは2度目の塗装を刷毛、ローラーの順で。乾いたら3度目を同様の順で行いました。
前日に思ったのですが、暗い時の塗装作業は避けた方がいいと思います。暗い時の作業で一番困ったのは、影なのか塗装ムラなのか判別が難しかったことです。そのようなわけで二日目は4時前には作業終了するように努力しました。
余ったガイナは前日同様にビニール膜を液面上に張り、蓋を閉め、倉庫で保管しています。
●マスキングをとる
マスキングテープなどをとる作業は、前にも書きましたが、大変な思いをしました。使用したマスキングテープは切れる切れる。やっぱり養生テープのほうがいいです。ここでかなり時間をとられました。

●清掃
滴り落ちて固まったガイナを掃除機で吸っていき、ブルーシート上の取れない塊はそのままにして畳みこみ、終了です。
●F☆☆☆☆
このレポートでも出てきた表記ですが、これはホルムアルデヒド放散値のランクです。星四つはホルムアルデヒド放散速度が最低を意味しています。今回、塗装作業中や塗装後数時間は換気をしましたが、寝るときは閉めて、そのまま通常の部屋として使用しました。若干の匂いはありますが、ほとんど気になりません。もちろん、翌日以降は匂いすら感じません。
【感想】
今回、DIYによるガイナ塗装作業のレポートを書かせてもらいましたが、私は塗装も素人だし、DIYも素人です。塗り終わるまではドキドキでした。塗り終わった時の達成感、綺麗になった壁、そして何よりも隣室の壁とガイナで塗装した壁を触った時の体感温度の違いが実感できて本当に良かったです。
最後に皆さん、ガイナ容器のJAXA cosmode projectのロゴをお見逃しなく。
【今回使用した品】
ガイナ
防カビ剤
電気ドリル マキタM609 (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B002MZY65G)
撹拌羽 新潟精機SKパワーミキサーM-80 (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B003B31HC8)
セメダイン 室内壁補修用 かべパテ (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000TGJWF4)
マスキングテープ(http://www.amazon.co.jp/gp/product/B005JWNKU6)
※これは高いですが、安物でも仕様感覚は同じでした。そしてマスキングテープではなくポリエチレン繊維の養生テープを強くお勧めします。
マスカー (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00HEWJ5LW)
カビ止め材入りシーラー (http://www.tagakenzai.net/product/3144)
刷毛 (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B008HYCMRU)
ペイントローラー (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B008HYDSO6)
交換用ローラー (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B008HYDUX0)
ペイントバケット(http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00CP1YS4Q)
※付属のローラーは若干小さく、頼りない感じです。
交換用内バケット (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00EYXX51A)
スクレイパー (http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0041G52H0)
マスク(http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00AEZILG6)
※写真ではマスクをしていませんが、着けて作業することをお勧めします。
ゴーグル(ホームセンターで購入)
※写真ではゴーグルを外していますが、着けて作業してください。
ディスポーザブル作業着(ホームセンターで購入)
柄杓(ホームセンターで購入)
ブルーシート(ホームセンターで購入)
作業用カッター(ホームセンターで購入)
(レノヴァより:すごい! 詳細なレポートをありがとうございました! 探究心が旺盛で研究熱心な深堀さまのこと、この冬もきっちり観察なさるんでしょうね。よろしかったら、観察結果、ぜひ教えてくださいませ!!
